無計画なあとがき

 あまりいないとは思いますが、このあとがきは完全なネタバレ仕様でお送りするので、「無計画小説」をまだ全部読んでいない方は読んでからこのページに来てくださいね。

 先に言っておきますが、かンなり長い語りになると思うのでそのつもりで(笑)

 

 

 はい。無計画小説はいかがだったでしょうか。

 大団円!! って感じですね。ひゃっほう。

 ついに、ついに「ぷち」ではないあとがきが書けるまでにいたりました。

 感涙にむせびそうです。あれほど執拗にぷちあとがきを書いていたので、うすうすお気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は「あとがき」というやつが大好きなんです。二度くらい言っときましょうか。もう、大好きなんです。

 読むのも書くのもどっちも好きです。特に書くほうは何かしらの作品を自分で仕上げた後でなければ、書く機会を得られないのでレア度が高く、書いていると幸せな気分にひたれます。ホントですよ。

 さてさて、このへんで本題に入ることにいたしましょう。
 えー。小説を書き始めてずいぶんになりますが、初めて経験しましたよ。キャラが勝手に動く、という現象を。

 いやあ、噂には聞いていましたが、まさか本当だったとは。

 設定も行動も、ぜーんぶ、自分で考えて、自分の指がキーボードをはじいているはずなのに! 思わぬ方向に話が動き、「お、おま、ちょいまち、待てって。ど、どこへ行くつもりだー」とキャラにつっこんだりしていました(笑)

 なかなかに楽しい経験でしたが、終盤が近づくと収拾がつかなくって苦労しました。
 実際に話せるなら、「キミたち、予定調和って言葉知ってるかい?」と言ってやりたい。余談ですが、予定調和ってもとは哲学用語です。けっしてご都合主義の物語を批判する言葉じゃありません。

 一見、茜が可哀想な目に合っていると思いきや。ハマに比べてやたらとヤマだけが可哀想な目に合ってます。

 可哀想というか、微妙にイラつくことばかりです。そう思って読み返すと、ヤマをいじめているとしか思えないですよ?(笑)
「柊さまばんざーい」というどーでもいい小ネタまでが複線だったとはよもや誰も予想できなかったでしょう。

 自分で生み出したキャラながら、ハマにはすっごく謝りたい。

 特に嘘つきなんて設定はなかったのに、気がつけば、こーんなに嘘ばっかついているキャラに(あああああ涙)

 それというのも、適当かつ考えなしで「無計画」を書いていて「やっぱりハマが言っていたことなしにしたい」と思ったのです。で、なしにするためにはどうしたらいいか。そうです。嘘つきにしちゃえば、なしになります。

 と、いうことで善良な顔して平気で嘘つくハマが誕生。で、晴れて嘘つきキャラになった彼にはその設定にしばられる形で嘘ばっか言います。

 後々、嘘ばっかついていることが、重要な複線になるとは思っていませんでした。嘘つきを好きな人はあまりいないと思いますが、彼は愛ある嘘つきさんなので多めにみてやってください。


 第8話で、ヤマの運動神経のすごさを目の当たりにした茜が「あいつ人間じゃないの?」みたいなことをハマに言い、
「あーんなに巨大でもハトだと認識できるのに、あの程度の運動能力で人間であることを疑うなんて不思議だなぁ」と答えるところがあるんですよ。

 さらっと言ってますけど、おそらくこの時のハマの心境はすごーく複雑じゃないのかな、と思います。複雑というか、ドロドロのグチャグチャだったかもしれません。
 ハマとしてはヤマのことを人間だと思っています。けれども、客観的には完全に人間だとは言い切れない部分も少なからずあり、ヤマ思いの彼にとって、そういった部分の葛藤があるわけです。そんな中、簡単に「人間じゃない」なんて言われて、きっとハマは自分のことのように傷ついて、悲しかったに違いありません。

 ってか、自分が書いたキャラの心情を推測するってけっこうテレますね。作中のことは作者が一番知ってんじゃないのって、かつての私も思ってましたが、そうじゃないんですよ。書いた本人もよくわからなかったりするんですよ。


 なんだかんだで、書いていてすごく楽しい小説でした。ここ数年の私の執筆傾向を振り返るに、あまりキャラに愛着が湧くということがなかったので新鮮な感覚でした。

 そこで簡単にキャラの説明もしくは裏話を少々。


 「茜」

 こんな元気いっぱいの女の子を書いたのはもしかして人生で初めてかもしれません。連載開始当初は性格も何も考えてなかったのですが、ひたすらにツッコミ役に徹するキャラになりましたね。もう少しちゃんと書き込んであげればよかったかな、と反省点もしばしば。

 名前の由来はなんだかパッと思いついちゃったから。なにかしらの霊感でも働いちゃいましたかね? 「あかね」という言葉の語感が大らかで優しい気がします。

 「ヤマ」

 茜がメインヒロインだったはずなのに、気がつけば、ヤマの話になってました。

 名前の由来は昔、兄がやっていたカードゲームの中の一枚に「夜魔」という言葉が書かれていて、印象に残っていたので拝借しました。読み方はわからなかったので、「ヨマ」でもよかったのですが、「ヨ」より「ヤ」の方がとがった感じでいいかなーと思いまして。

 気苦労が多くて真っ先に胃に穴が開くタイプですね。そういう人嫌いじゃありません。ま、ヤマの場合は強靭な肉体をもっているので、ちょっとやそっとの胃酸じゃ彼の胃に穴は開けられないので大丈夫でしょう。

 「ハマ」

 名前の由来は、「夜魔」と対になる名前がよかったので「○魔」にしようと思ったら自然に「破魔」が思いつきました。辞書にものってる言葉ですし、「魔を滅する、煩悩を断ち切る」みたいな意味なのでRPGやファンタジーではわりとよくお目にかかる単語です。

 ちなみに本名であるカケルは小さい頃に観ていたアニメ「青いブリンク」の主人公、カケルから。基本的に「無理だよ〜出来る訳ないよ〜」とすぐにボヤく駄目ッ子なんですけど、やる時はやるタイプでした。ハマも常にヘラヘラしている割に、やる時はやるタイプなのでして。

 「早希」

 まったく予定外の登場。出番もイマイチありません。でもなぜか愛着があります。本作のロリ&暴走担当。

 ちなみに彼女のフルネームは「赤村早希(あかむらさき)」という裏設定があったりします。

 早希が死ぬパターンの話も考えてたんですけど、あんまり早希が可愛くってどうしても殺せませんでした。で、代案として茜に茶番を演じてもらいましたとさ。

 「柊」

 キャッチコピーは「俺さまは女王さま」です。クールビューティーを目指しました。成功しましたでしょうか? あんな高慢な物言いをされたらイラっとしそうなものですが、柊さまならしょうがないと思っていただけたら理想です。

 名前の由来、Do As Infinityの曲、「柊」から拝借。(ちなみに私は名前を決めるのが非常に苦手なので、どこからか拝借することが多々あります)単にあの曲が好きだから、という理由もありますが、柊の葉が鮮やかで綺麗な色を持っているのと同時に刺さると痛いあのツンツン具合も実に的確かなとの判断でした。

 わりとなんとなくで決めましたが、改めて曲の歌詞を読むともう柊のことをまんま歌っているようにしか思えないんですよ。無意識のうちに影響を受けていたのかもしれません。

 こう、自分たちの研究でヤマを創りだしてしまったけれど、彼に対する非人道的な扱いを悔いている。守ってあげたいんだけど、今の自分ではどうしようもない、そんな歯がゆさ、を表していると解釈すればもう柊のためにある曲なんじゃないかと勝手に妄想を抱いてしまいます。

 歌詞が気になる方はこちらからどうぞ→ goo 音楽

 ざっと書くとこんなものでしょうか。

 なんだかんだで長く続いた無計画小説もこれで終わりかと思うと切ないです。

 外伝を書くとしたら、ヤマハマコンビの過去の話を書きたいです。


 最後までお読み下さり、本当にありがとうございました。


 2007、9、6
土砂降りの雨の夜に。
 


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