今に
君は歩きだす
それは今
誰もが新しい道を歩き始めるこの時に
君が勇気を出して一歩を踏み出すとき
蜜蜂もまたその時を迎える
小さな羽を羽ばたかせ
甘い蜜を求めて飛び立つ彼らは
常に己の女王への忠誠を誓う
君が晴れやかに一歩を踏み出すとき
緑の風がその時を告げる
その馨りはやわらかで
やさしく君を導いてくれるだろう
彼らは軽やかな慈愛
君が先の見えない一歩を踏み出すとき
あたたかな日の光が君の足元を照らす
運良く春雨と出会うことができたならば
奇跡のような七色のかけ橋を与えてくれるかもしれない
誰にでも等しい彼らは軌跡
君が初めての一歩を踏み出すとき
渡り鳥は翼を広げる
何の目印も無い広すぎる青を渡るために
手を取り仲間と共に同じ目的地を目指す彼らは
決して思いやりを忘れはしない
君が気ままな一歩を踏み出すとき
雪は山に別れを告げる
新たに芽を出す命のために
澄んだ流れで全てを解凍する
やがて大きな海とも雲ともなる彼らは一時の休息を得た旅人
もしも君が蜜蜂の羽音を聞いたなら
誰かのために強くなるだろう
もしも君が緑の風に背中を押されたなら
気ままと無条件のあいまったやさしさの羽音を知るだろう
もしも君が日の光のあたたかさに触れたなら
冷たく頑ななものを溶かしては包み込む力を得るだろう
もしも君が見上げた空を渡り 鳥が横切ったなら
漠然と広大なものをも恐れない勇気を抱くだろう
もしも君が冷たい雪解け水で喉を潤したなら
淀みなく澄んだ輝きを放つだろう
君が漠然たる大地に一歩を踏み出すとき
僕もまた歩きだそう
かけがえの無いものに出会い
大切なことを学び
儚いものたち を守るため
必要なのはこの胸の中の確かな羅針盤
君は今歩きだす
それは今
誰もが新しい道を歩き始めるこの時に